ポケットコイルの起源

コイルスプリング(ばね)を袋に入れて並べ、枠線に固定した上にウレタンやポリわた等のクッション層を載せ、ベッドフレームの上に乗せて使う。
これがポケットコイルマットレスである。

このブログの読者であれば、こうした説明は不要だろう。

125年以上前に発明され、現在では主流の一つとなっているマットレスの構造だ。

では、その起源はどこにあるのか。

そう聞かれて、正確に答えられる人は意外に少ない。

「シモンズではないのか?」

そう思った人も多いはずだ。

シモンズが「ビューティレスト100周年」として記念モデルを発売したのは2025年。
つまり、同社のポケットコイルは1925年に登場している。

しかし先述の通り、この構造そのものはそれよりもさらに古い。

おおよそ1900年前後。

ここに、この構造の本当の出発点がある。

“ジェームズ・マーシャル”

世界で初めてポケットコイルマットレスを開発したとされ、1900年前後に特許を取得した人物である。

もともとベッドは、丈夫な紐を縦横に張り、その上に藁や羊毛などを詰めたクッションを載せる構造が主流だった。
1850年頃の話である。

その後、耐久性を高めるために紐は金属へと変わっていく。
しかし金属であっても徐々に伸びてしまうため、その伸びを巻き取る仕組みなども考案された。
これが1880年前後である。

同じ頃、シモンズやシーリーといったメーカーがスプリングマットレスを作り始めている。

さらに1890年代には、ソファや椅子の座面に使われていたボンネルコイル構造がマットレスに転用されるようになる。

そして1900年前後、マーシャルがポケットコイルを開発する。

寝返りのたびに振動が広がる従来の構造に対し、
驚くほど静かな寝心地は当時としては画期的だった。

しかし、数百個のばねを一つ一つ袋に入れ、それらを固定してマットレスの形にする工程はあまりにも手間がかかる。
特許期間を過ぎても、爆発的な普及には至らなかった。

この状況を一変させたのがシモンズである。

ばねを自動的に袋詰めする装置を開発し、
1925年に「ビューティレスト」として商品化。

ポケットコイルはここで初めて大量生産され、全米に広がっていった。

つまり、

ポケットコイルを発明したのはマーシャルであり、
それを普及させたのがシモンズである。

当時すでに大手メーカーだったシモンズは、圧倒的なスピードで市場を席巻した。

その結果、他社が同様の製品を展開できるようになった頃には、

「ポケットコイル=シモンズ」

という認識がアメリカ全土に定着していた。

シモンズ自身が発明者を名乗っているわけではない。

しかし市場の中では、

“発明した会社”として認識されてしまっている。

「ポケットコイルを発明したのはシモンズじゃないって知ってた?」

ベッド選びの際、そんな話をしてみるのも一興かもしれない。

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作成者: SNOWWIS

長年、日本のベッド・マットレス業界を見てきた立場から、 寝心地や構造について個人の視点で考察しています。 マットレスに「唯一の正解」はない、 体格や睡眠時間、生活環境によって最適解は変わる—— そんな前提のもと、 カタログや宣伝では語られにくい部分を中心に書いています。 特定のメーカーや商品を推奨することを目的としたブログではありません。 読んだ方が、ご自身で考え、選ぶための材料になることを目指しています。