~日本ベッドの良心が宿る、隠れた名品~

日本ベッドの最高峰に君臨する一枚である。
※もっとも、その上にハンドタフトのクチュールという、趣味性に富んだ特別なモデルが存在するが、あれは評価が難しい別次元の存在である。

ポケットコイルの寝心地を極める方法、その一つが「コイル径を小さくする」こと。その代表格であるシルキーポケットに、“正しい”ピロートップを組み合わせたのがこのモデルだ。

“正しい”ピロートップとは何か?
ピロートップの真髄は、マットレスの端から端まで均一な寝心地を提供することにある。かつて、その意義は明確だったが、今では忘れ去られたか、あるいは最初から理解されていなかったのかもしれない。たとえば、クラウンジュエルガーナイトのような分厚いクッション層を持つマットレスを思い浮かべてみよう。もしそのクッション層がスプリングユニットの枠に直に縫い付けられていたら?

クッション層は弓なりに張り詰め、中央と端で寝心地がまるで異なるものになってしまう。だからクッション層をスプリングユニットから半ば切り離し、自由に動けるようにした。それがピロートップの本来の目的なのだが、切込みが浅く、ほぼボックストップになってしまっているようなモデルがあまりにも多過ぎるのだ。

その点、日本ベッドのピロートップは“正しい”。

クッション層は深い切込みにより自由に動き、厚さも控えめに抑えられている。これにより、スプリングユニット本来の優れた特性を損なわず、上品な寝心地を実現しているのだ。

大人気モデルとなっているパフやシフォンのようにクッション層の力に頼って寝心地を作るのではなく、スプリングユニットとクッション層の貢献度合いがきちんと50:50になっているのが、なんとも好印象である。

日本ベッドはフォルテのような不可解なモデルを増やすのではなく、このピロートップのソフトとハードを増やすべきだったのではないだろうか。