〜あえて古いタイプを選ぶ必要はあるのか?〜
スプリングマットレスの始まりはボンネルコイルである。鼓型のバネをヘリカルワイヤーで連結している為、隣り合うバネは互いに影響しあう。
これが最大の欠点で、その上、バネ同士がヘリカルワイヤーで横方向にも繋がっているので、振動が伝わりやすい、という欠点も併せ持つ。
この方式を敢えて採用する場合、多くは予算的な制約がある時で、安価なホテルや子供部屋に置かれている事が殆どだろう。
次に開発されたのが、連続コイルである。
一つ一つバネを作ってから繋ぐのではなく、一本の鋼線を連続的にバネとして成形し、それをヘリカルワイヤーで繋ぐ方式。まあ、寝心地の向上というよりはコスト削減が主目的であった筈で、バネ同士が繋がっている事自体は変わらず、腰部と臀部のギャップを埋める事は出来ていない。つまり、ボンネルコイルと寝心地に大差はない、という事だ。ボンネルコイルより多少マシなのは、ヘリカルワイヤーが横方向ではなく縦方向である為、パートナーの寝返りの振動が若干伝わりにくくなっている点。しかしまあ「若干」という程度である。
フランスベッドの高密度連続スプリングは、この連続スプリング方式のバネの直径を小さくして、バネ数を増やした物である。バネ数が多い、という事はよりきめ細かく身体にフィットする可能性はあるが、バネ同士が繋がっている以上、どうしても限界はある。
筆者がフランスベッド製のマットレスを取り上げるつもりが無いのは、フランスベッドの誰に聞いても高密度連続スプリングの寝心地がポケットコイルの寝心地を上回るイメージをどうしても持てないからで、これは連続スプリングが旧世代である以上、仕方のない事であろう。