〜さすがのロングセラー〜
現在の日本ベッドを支える中核モデル、
パフ/シフォンのベースとなっているシルキーポケットは、
サータのポスチャーノーマルと並ぶ、稀有なロングセラーである。
側生地の変更こそ何度か行われてきたが、
基本構造はほぼ変わらぬまま、すでに20年以上作り続けられている。
この事実だけでも、
設計そのものが完成度の高いものであることは疑いようがない。
唯一の弱点は「量販店オリジナル」の存在
ポスチャーノーマルとの大きな違いは一つだけ。
一部のウールを省いた、
基本構造がほぼ同一の量販店オリジナルモデルが存在する点だ。
これは残念ではあるが、
裏を返せば、
ほとんど弄る余地のないほどスペックが詰まっている
ということでもある。
構造が単純で、
誤魔化しの効かないマットレスほど、
こうした派生が生まれやすいのも事実だ。
「普通」が変わったという現実
かつて「普通」と評されていたレギュラーは、
令和の現在では「硬い」と感じる人が明らかに増えた。
その結果、
- ソフトが実質的な「普通」
- ハードは硬すぎて、ほとんど選ばれない
という状況になっている。
繰り返しになるが、
ソフトという名称に惑わされる必要はない。
このソフトは決して過剰に柔らかいわけではなく、
現代の感覚では「標準」に近い寝心地である。
体格のしっかりした男性であっても、
ソフトを選んでまったく問題ない。
コイル径という“正攻法”
シルキーポケットは、
ポケットコイルマットレスの寝心地を良くする方法の一つ、
コイル径を小さくする
という正攻法を、非常に真面目に実行している。
そのため、
ごく薄いクッション層だけでも、
十分に身体にフィットした寝心地を得ることができる。
近年のように、
- クッション層を何層にも重ね
- ウレタン量で耐久性を担保する
というトレンドとは、真逆の思想だ。
だが、
唯一のウレタン層を大切に使えれば、寝心地は長く保てる。
求められるのは「使い方」
そのために必要なのは、
二つだけ。
- 性能の高いベッドパッド
- 定期的なローテーション
まずベッドパッドは、
ポリエステルではなくウール素材を選びたい。
ウールは吸湿・放湿性に優れ、
身体から出る水分をマットレス本体へ伝えにくい。
初期投資はわずかに増えるが、
これは誰にでもできる対策だ。
問題はローテーションのほうである。
誰も守らない「簡単な作業」
3か月に一度、
頭と足、表裏を入れ替える。
やること自体は極めて簡単だが、
これをきちんと続けられている人は、ほとんどいない
というのが筆者の実感である。
積層ウレタンの多いマットレスは、
多少ローテーションを怠っても大きな問題になりにくい。
だが、
ウレタンが薄いシルキーシリーズは、
この管理がシビアだ。
結論
言い換えれば、
- 良いベッドパッドを使い
- ローテーションを怠らない
この二点さえ守れれば、
シルキーポケットは非常に優秀なマットレスである。
誤魔化しが効かない分、
使い手を選ぶ。
だが、
正しく使えば、
その完成度の高さは、
20年以上続くロングセラーという事実が何より雄弁に物語っている。