──マーケティングの勝利、商品は平常運転
シーリーが近年、力を入れているシリーズである。
特定のアスリートを起用するのではなく、
「アスリートという概念そのもの」をイメージキャラクターにする発想は、
いかにも**シーリー**らしい。
昔からマーケティングセンスには定評のあるブランドだが、
今回もその面目躍如といったところだ。
正直に言って、天晴である。
ただし、
商品そのものが劇的に変わったのか?
と問われれば、話は別だ。
構造を見れば、
ポスチャーテックコイルを基本とし、
その上にさまざまなクッション材を載せる。
良くも悪くも、いつものシーリーの手法である。
この構成は、
クラウンジュエルでも、
チタンコレクションでも、
ホテルスタイルでも、
ディズニーコレクションでも変わらない。
つまり、
看板は違えど、中身の思想は同じ
ということだ。
結果として、
「で、結局どれを選べばいいのか」
が、どうにも見えにくくなる。
もちろん、
好きなシリーズの中から
予算に合うものを選べば済む話ではある。
だが、それは
消費者に判断を委ねているというより、
判断を放棄している
ようにも見えてしまう。
ここまでラインナップを拡げたところで、
果たしてシーリーのブランドイメージは
本当に上がっているのだろうか。
選択肢が増えることと、
ブランドが強くなることは、
必ずしも同義ではない。
マーケティングとしては、
間違いなく成功している。
だが、
商品として、
そしてブランドとしての“輪郭”は、
むしろ少しずつ
ぼやけてきているようにも感じられる。
その点は、
はなはだ疑問である。