シモンズ vs シーリー その2

まず、それぞれの代表的な構造を整理しておこう。

シモンズはバネを一つひとつ不織布の袋に包み、互いに独立して動く構造、いわゆるポケットコイルだ。シーリーは荷重が増えるほど反発力が高まるポスチャーテックコイルを、ヘリカルワイヤーで連結した構造である。

それぞれの強みを挙げると、おおよそ以下のようになる。

シモンズの利点は、振動が伝わりにくいこと、身体の凹凸への追従性が高いこと、そしてコイルの硬軟を設計段階でコントロールできることだ。シーリーの利点は、異なる体重・体型への対応力、軽量に仕上げられること、そしてコイル自体の耐久性の高さである。

正直に言えば、この時点でもう書きにくくなっている。あまりにシーリーが分が悪い。というより、思想が古いのだ。

連結コイルである以上、振動が伝わることは構造上の宿命だ。荷重で硬くなるポスチャーテックは、そもそもの設定が硬め。そして連結構造は柔らかくしにくい、という弱点も避けられない。柔らかさはクッション層に頼るほかなく、硬さのバリエーションは上層の「味付け」しだいになってしまう。

ただ、シーリーはここが非常に上手い。

あらゆる構造的弱点を補って余りあるのが、ファーストタッチの気持ちよさだ。包み込まれるような寝心地は、好みに合いさえすれば代替不可能な上質感を持つ。だからシーリーが売れる瞬間は、細かい説明を省いたときだったりする。自分で試し寝をした客が、こちらが何も言っていないのに「これ、メチャクチャ気持ちいいな」と呟くパターン。

一方、シモンズは王道のポケットコイルそのままである。奇をてらわないオーソドックスな構造。以上。

大きな欠点はないが、スペックに対して価格が高めなのは否めない。かつてはもう少し手頃だったが、近年の人気上昇に合わせて、価格帯も着実に引き上げられてきた。

たとえばゴールデンバリューのシングルサイズは、2005年頃に税抜12万円だったものが、2026年現在は税抜19万円。実に1.5倍以上だ。原料高や仕様変更はあったものの、6.5インチ・線径1.9mmのポケットコイルユニット自体は、30年以上にわたってほぼ変わっていない(2010年前後に線材グレードが数ランク向上した形跡はあるが)。

選び方の目安としては、線径を細くすれば柔らかく、太くすれば硬くなる。また7.5インチ以上のコイルを選べばストロークが伸び、対応できる体格の幅が広がる。体格差のあるカップルでも、大きな不満は出にくいだろう。

理屈で選ぶならシモンズ、感覚で選ぶならシーリー――雑な分け方で恐縮だが、あながち外れてもいないと思っている。とはいえ最後は好みの問題だ。スペックがどれだけ優れていても、実際に横になって「気持ちいい」と感じられるかどうかに勝る判断基準はない。面倒でも、ぜひ店頭でしっかり試し寝をしてから決めてほしい。

作成者: SNOWWIS

長年、日本のベッド・マットレス業界を見てきた立場から、 寝心地や構造について個人の視点で考察しています。 マットレスに「唯一の正解」はない、 体格や睡眠時間、生活環境によって最適解は変わる—— そんな前提のもと、 カタログや宣伝では語られにくい部分を中心に書いています。 特定のメーカーや商品を推奨することを目的としたブログではありません。 読んだ方が、ご自身で考え、選ぶための材料になることを目指しています。