〜サータの至宝、トリプルクッションの覇者〜
サータのフラッグシップたるこのマットレス、4.7+4.7+3.3インチのポケットコイルに、トラディション譲りのセンターソフトゾーニングを組み合わせ、頂点を極めた逸品だ。
Q2サイズ(163cm)およびSKサイズ(180cm)は本体を分割式とし、Q1サイズ以下はボトムのみ分離式。なるほど、こいつはただの寝床ではない、移動と実用を両立させた知恵の結晶だ。
近頃の高級マットレスは、シモンズリュクスを筆頭に、でかく、厚く、重い。だが、待てよ。「置ける」ことと「運び入れられる」ことは別問題だ。業界の裏話では、巨大マットレスの搬入失敗は日常茶飯事。戸建ての2階? セミダブル以上はまず厳しい。階段が広く、天井が吹き抜けなら話は別だが、そんな家は稀だ。マンションの6人乗りエレベーターにクイーンサイズ? 冗談だろう。小さなエレベーターのビルなら、共用階段も推して知るべしだ。
ようやく設置しても、次はローテーションの試練が待っている。マットレスの寿命を延ばすには数ヶ月ごとの回転が必須、だが現実は半年、1年放置がざら。するとクッション層がヘタり、どんな高級品もウレタンの宿命には抗えない。ならば、分割式にしてピロートップを外せるようにするべきだ。搬入は楽になり、ローテーションも朝メシ前。サータのこの設計、実に心憎い。
寝心地はといえば、老若男女、誰が寝ても「悪くない」と唸る中庸の極み。硬すぎず、柔らかすぎず、95%の者に愛される絶妙なフィールだ。極端を求める向きには他を勧めざるを得ないが、たいていの者はこの上質さに参るだろう。何しろ、日本唯一の家庭用ウォーターベッドメーカー、ドリームベッドが魂を込めたスプリングマットレスの頂点だ。寝心地が悪いはずがない。
だが、惜しむらくはセールスでシモンズリュクスに一歩及ばぬこと。対抗するなら、シリウスだけで満足せず、ポラリス、ベガもしくはアルタイルを揃えた三本の矢で挑むべきだ。サータよ、もっと吠えろ。このマットレス、ただ者ではないぞ。