〜どうしてこうなった?サータ迷走の象徴〜
サータブランドを日本でライセンス生産しているドリームベッドは“モノは良いのにそれ以外、特に商品MDが致命的に下手”な会社なのだが、このモデルはまさにその典型である。
レジェンドたるポスチャーノーマルをベースに、コイルを日本最高レベルの9インチまで伸ばし、ピロートップを搭載。シモンズカスタムロイヤルと比して勝るとも劣らないスペックを誇りながら、その価格はシングルサイズで税抜218,000円。
カスタムロイヤルのそれが税抜360,000円である事を考えれば、誰がどう見てもバーゲンプライスである。
飛ぶように売れたとして、なんの不思議もない。
ところがこれが、さっぱり売れていない。
そもそも実物を見て触れる店がほぼ存在していないし、置いてあっても売りこなせない店がほとんどなのだ。
その理由は複数ある筈だが、確実に挙げられる理由の一つは単純。安過ぎるのだ。
前述の通り、スペック的に見てライバルはカスタムロイヤルなのに、価格が2/3なのである。
知名度の高いブランドか、全く別の畑のノンスプリングマットレスならこの安さは武器になるかもしれないが、サータはシモンズと同じバックグラウンドを持ちながら圧倒的に負けている立場。
であるならば、カスタムロイヤルと同じか、少し安いくらいの“近い”価格設定にするべきではないだろうか。
そうすれば、変に疑われることもなく、ブランドイメージを毀損することもなく、良い物として扱われていた筈である。
また、シモンズのように単純にインチが上がっていく=寝心地向上&高価格化であれば良いのだが、サータ最高級モデルには7.7インチ小径コイルが入っている、というのも混乱に拍車をかけている。
何故この9インチを最高級モデルに使わないのか理解に苦しむ。発売の時点で社内でどのようなプロセスを経たら、こんな中途半端な商品が出来上がるのか?
シモンズに追いつき追い越すのが目標ならば、この種の「実はこんなのも作れます!」「試しに売ってみてください!」は無駄でしかない。
もっと俯瞰した目で、ポスチャーノーマルを基点にしたグランドデザインを描いて商品開発するべきだ。
今のままカタログに載せ続けても売上枚数は伸びていかない。近いうちに廃盤になるのだろう。
ドリームベッドはこういうモノづくりを過去何十年も繰り返しているのでまず間違いない。
消費者目線で見れば、これが買えるうちに買っておくべきではある。試せる場所はほぼ無いが…
※執筆時点で東京ショールームには展示されていない。