〜進化の先頭を走る第三世代ポケットコイル〜
重たいお尻をしっかり支える為のセンターハードゾーニングはポケットコイルマットレスの歴史において革新的な進化の一つである。
頭から踵まで同じ硬さのコイルを並べるのではなく、体重分布によって硬さを変えるべき、という極めて合理的な考え方によって作り出されたゾーニングは日本ではサータポスチャーノーマルから始まり、今では日本ベッド以外のメーカーがなんらかのゾーニングを採り入れている。
そのサータから、第三世代とも言える革新的なゾーニングのマットレスが生み出されたのは、ドリームベッドという会社の持つ先取の気質による必然であろう。
頭、肩、背中、腰、お尻を3種類のコイルで支える、しかもお尻が最も軟かい…これまでの常識とは正反対の作りに混乱する方もいるかもしれないが、腰部と臀部を分けて考えれば簡単になる。
凹凸の凸である臀部は軟らかいコイルで受け止めて、凹の腰部は硬いコイルでバシッと支える。
臀部と腰部を一塊として捉えるのではなく、それぞれの形と重さでセッティングを変えているのだ。
横向きになれば、幅のある肩と骨盤はしっかりと沈んでくれる。
仰向けでも横向きでも身体の軸が一直線になるので、軟らかいのに寝返りが打ちやすくなる。
寝てみるとわかるのだが、本当にしっかりと腰を支えらている感覚が味わえるし、横向き時の肩の快適さは他のマットレスとは一線を画す。
上位モデルのロイヤルや6.8ピローソフトにはかなり厚いピロートップが搭載されている。ここまで厚いピロートップの場合、下部のスプリングの性能を感じ難いもの(シーリークラウンジュエルが好例)だが、トラディションの場合はピロートップ越しにスプリングの感触がきちんと伝わってくる。
是非一度、店頭で試してみて欲しい。
ここまで細かいゾーニングが可能なのは、サータを作っているドリームベッドが異なる種類のコイルを一列に封入できる装置を自社開発しているから。
ゾーニングのポケットコイルを製造する場合、通常は“硬いユニット”と“軟らかいユニット”を別々に作り、それを並べて接着するのだが、ドリームベッドはそんな手間をかけずに一瞬で並べてしまうので、いくらでも細かいゾーニングが可能なのだ。
MDやブランディング、マーケティングについてはお世辞にも褒められないドリームベッドだが、開発力については業界のトップではないだろうか。
一点だけ苦言を申し上げるとしたら、2023年に追加された2トップの存在。
このモデルは商品MD上まったく意味不明で、どうしてこういうモデルが出てきてしまうのか不思議で仕方がない。
噂によると、シモンズカスタムロイヤルの対抗モデルとして開発されたらしいが、カスタムロイヤルが売れているのはゴールデンバリューがあって、エグゼクティブがあって、のカスタムロイヤルだからこそ売れているのであって、単に寝心地が良いからではない。
「カスタムロイヤルっぽいの作ってみました〜」だけでライヴァルを凌駕できると考えたとしたら、少々安易に過ぎるのではなかろうか。
ベストバイは予算に余裕があればロイヤル、そうでないなら割り切ってノーマルを選択して、コイルをダイレクトに味わうのもアリだと思う。